
心電図の本を探すと、たくさん出てきて選べません。おすすめをまとめた記事もありますが、目的が違えば合う本も違うので、「みんなにとっての1位」はありません。
この記事では、何のために読むかで4つに分けて整理します。自分がどれを求めているかを先に決めてから、その中で選んでください。
学習の順番そのものは心電図の学習は何から始める?おすすめの順番と勉強法にまとめています。
先に決めること:何のために読むか
次の4つのうち、いまの自分はどれかを決めてください。
- これから始める。モニター心電図を見る立場で、基本から知りたい
- 読めたあと、どう動くかを知りたい。報告や対応まで含めて学びたい
- 12誘導心電図まで、しっかり学びたい。あるいは調べ物に使える1冊がほしい
- 心電図検定を受ける
ここを決めずに「評判のいい本」を買うと、自分のレベルに合わずに止まります。買って読み終わらない本がいちばんもったいないので、最初の1冊は背伸びしないほうがうまくいきます。
タイプ1:これから始める(モニター心電図が中心)
図が多く、所見を1つずつ区切って説明しているタイプが向いています。
『これならわかる!心電図の読み方』(大島一太)
心電図の種類の違い(モニター・12誘導・ホルター・運動負荷)から始まり、電極の貼り方、波形の意味、そして所見ごとの解説へと進みます。所見ごとに緊急度が示されているので、「これは急ぐのか」が分かりやすいのが特徴です。
図が多く、1つの所見を見開きでまとめる作りなので、最初の1冊として読み進めやすい本です。
『看護のためのモニター心電図ガイドブック』
原則を立てて、それを最後まで通していくタイプの本です。細かい知識を並べるのではなく、「こう考える」という筋を先に示してくれるので、読み終わったあとに手順が残ります。
『心電図教えてノート -MACTで変わる!モニター管理の新常識- 改訂3版』(冨田晴樹・富永あや子 著/石田岳史 監修、中外医学社)
この本の珍しいところは、波形の読み方だけでなく、病棟のモニター管理そのものを扱っている点です。MACTという取り組みで、アラームの数を実際に大きく減らした記録が載っています。
アラームが鳴りすぎて困っている病棟の方には、波形の本としてよりも、現場を変えるための本として役に立ちます。
選ぶときに見てほしいところ
本屋で手に取ったら、心臓の電気の流れの説明が最初に入っているかを確かめてください。いきなり波形の一覧から始まる本は、2冊目以降に向いています。
タイプ2:読めたあと、どう動くかを知りたい
心電図の学習は「読める」で終わりではありません。読めたあと、どう動くか、誰に何を伝えるかまでが1セットです。現場で不安なのは、読めないことそのものより、読めたあとに動けないことだからです。
『読んで動ける心電図』(冨田晴樹)
題名のとおり、読んだあとに動くところまでを扱っています。看護師の方に向けて書かれていて、一文が短く読みやすいのも特徴です。
『確実に伝わるモニター心電図報告ガイド』
報告のしかたに踏み込んだ本です。ISBARCという報告の型に沿って、何をどの順番で伝えるかが整理されています。「見つけたけれど、どう言えばいいか分からない」が悩みの方は、この1冊で変わります。
タイプ1の本と並行して、早めに読んでおくと安心感が変わります。
タイプ3:12誘導心電図までしっかり/調べ物に使う
『レジデントのための これだけ心電図』(日本医事新報社)
研修医向けですが、心電図をこれから学ぶ方にも読めます。系統的な読み方と鑑別診断の章があり、心拍数から順に何を確認するかが手順として書かれています。読む順番を身につけたい方に向いています。
『心電図パーフェクトマニュアル』(羊土社)
こちらは通読する本ではなく、辞書として引く本です。所見ごとの定義、数値の基準、機序が網羅されています。「この所見の正確な基準は何だったか」を確かめたいときに開きます。
最初の1冊には向きませんが、教える立場になったときや、根拠を確かめたいときに1冊あると心強い本です。
タイプ4:心電図検定を受ける
検定を受けるなら、解説つきの問題集を軸にします。
公式のもの
- 『改訂3版 心電図検定2級/3級 公式問題集&ガイド』(日本不整脈心電学会 心電図検定委員会 編著/メディカ出版)。2級・3級の想定問題が計111問
- 『実力心電図 −「読める」のその先へ−<改訂版>』(日本不整脈心電学会 発行)。A4判340頁。心電図専門士・心電図検定の対策用
公式のものは2冊だけなので、市販の対策本と組み合わせる形になります。
級別に向いているもの
- 4級・3級から:『Dr.翼のスッキリわかる 心電図検定3級合格のツボ』は薄めで、最初に通すのに向いています
- 2級・3級:『2・3級合格をつかむ心電図問題集160&とことん解説』は問題数が多く、解説が厚いのが特徴です
- 1級・2級:『心電図7日間最強ブースト マイスターと鍛える1・2級合格へのテーマ別集中対策』(羊土社)、『心電図完全攻略マニュアル マイスターが教える1・2級合格への最強メソッド』、『心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座』『心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習』
検定の進め方そのものは心電図検定の勉強法にまとめました。
なお、検定対策の本から入らないでください。基礎ができていない状態で問題集に入ると、答えの丸暗記になります。まず基礎の1冊を終えてからにすると、結果的に早く進みます。
本を選ぶときのチェックポイント
書名だけで決めず、手に取って次の5つを見てください。
- 自分の現場に合っているか:モニター中心の本か、12誘導中心の本か。病棟なら前者、検査室なら後者から
- 電気の流れの説明があるか:ここがない本は、暗記の本になります
- 文字の大きさと余白:毎日開くものなので、読みづらい本は続きません
- 図が実際の記録に近いか:きれいすぎる模式図だけの本は、現場の波形とのギャップが大きくなります
- 分量:1か月で読み終われそうか。分厚い本を1冊より、薄い本を2周のほうが身につきます
買ったのに読み終わらない方へ
心電図の本が読み終わらないのは、意志の問題ではありません。原因は次のどれかであることが多いので、あてはまるものを探してみてください。
- レベルが合っていない:1ページ目から知らない言葉が出てくるなら、その本はまだ早いです。1段やさしい本に替えてください
- 読むだけになっている:手を動かさないと読めるようにはなりません。間隔を測る、波に印をつける。ここまでやってください
- 順番に読もうとしている:辞書型の本を最初から読むと、必ず止まります。本のタイプに合った読み方をしてください
- 1人で読んでいる:詰まったときに聞ける相手がいないと、そこで止まります
よくある質問
何冊くらい必要ですか
最初は1冊で十分です。基礎の1冊を終えてから、目的に応じて足していってください。同時に何冊も買うと、どれも中途半端になります。
電子書籍と紙、どちらがいいですか
波形を見るなら、大きな画面で見られるほうが読みやすくなります。紙かタブレットがおすすめです。スマートフォンだと、細かい波形が読み取れないことがあります。
古い版でもいいですか
基礎の部分は大きく変わりません。ただし、治療や対応に関わるところは新しい版のほうが安心です。中古で買うなら、基礎の本にしてください。
本だけで読めるようになりますか
なります。ただし、電気の流れのような「動きのある話」は、本だと読み取りにくいのも確かです。動画と組み合わせると早く進みます。
本と組み合わせて使えるもの
本で仕組みを入れたら、その日のうちに問題を解いてください。読んだだけでは、読めるようにはなりません。
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動画で順番に学びたい方は、心電図CAMPとはもご覧ください。

